2009年9月の政権交代をもって「日本の近代」は終わったとする説があります。明治維新によって始まった日本の近代は、工業化と民主化を促進し、外国との戦争と高度経済成長と物質的裕福をもたらしました。しかし一方で、貧富の格差は拡大し、人心は荒廃し、地球環境は絶望的に破壊されました。そのような近代、良くも悪くも現在生きている人々が生きてきた近代が終わったというのです。それが本当だとすれば、私たちはいま、日本の前近代である江戸時代から明治時代に変わったときのような、歴史の大転換点に立っていることになります。社会構造の大変革は経済環境の激しい変化を誘発します。これまで世界の経済を牽引してきた産業が軒並み苦境に立たされていることは単なる偶然ではなく、我々印刷産業も例外ではありません。
このような歴史的な大変革期にあたり、もはや印刷産業において「近代的」な成功シナリオはまったく通用しなくなってしまいました。我々が事業を継続させるためには、次に来る「時代」を確実に捉え、次の時代にあった経営戦略に切り替えていく必要があります。
また2011年3月の東日本大震災がもたらした自然災害の脅威は、我が国に厳しい試練を与えました。しかしながらこの辛い経験によって、長い間忘れていた大切な何かを私たちは取り戻そうとしています。関東大震災、第二次大戦…幾多の危機を乗り越えてきた先人たちのように、いま私たちが日本再興の先頭に立たなければなりません。
PrintNext運営委員会は、以上のような厳しい現状認識に立ち、それでもなお新しい時代のリーダーとして、団体の垣根を越えて共に学び切磋琢磨し、希望の未来を創造する決意をもって、PrintNext 2012を開催いたします。